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高速ブラシレスモーターのEMC最適化

1. EMCの原因と保護対策

高速ブラシレスモーターでは、EMC問題がプロジェクト全体の焦点となり、課題となることが多く、EMC全体の最適化プロセスには多大な時間がかかります。そのため、まずEMCが基準値を超える原因と、それに応じた最適化手法を正しく認識する必要があります。

 

EMC の最適化は主に次の 3 つの方向から始まります。

  • 干渉源を改善する

高速ブラシレスモーターの制御において、最も重要な干渉源は、MOSやIGBTなどのスイッチング素子で構成される駆動回路です。高速モーターの性能に影響を与えることなく、MCUのキャリア周波数を下げ、スイッチング素子のスイッチング速度を下げ、適切なパラメータを持つスイッチング素子を選択することで、EMC干渉を効果的に低減できます。

  • 干渉源の結合経路の削減

PCBAの配線とレイアウトを最適化することで、EMC(電磁両立性)を効果的に改善できます。配線同士の結合は、より大きな干渉を引き起こします。特に高周波信号線では、配線がループを形成したり、配線がアンテナを形成したりするのを避けるようにしてください。必要に応じてシールド層を厚くすることで、結合を低減できます。

  • 干渉を遮断する手段

EMC改善において最も一般的に使用されるのは、各種インダクタンスとコンデンサであり、異なる干渉に対して適切なパラメータが選択されます。Yコンデンサとコモンモードインダクタンスはコモンモード干渉用、Xコンデンサはディファレンシャルモード干渉用です。インダクタンス磁気リングも高周波磁気リングと低周波磁気リングに分かれており、必要に応じて2種類のインダクタンスを同時に追加する必要があります。

 

2. EMC最適化事例

弊社の10万回転ブラシレスモーターのEMC最適化において、皆様のお役に立てればと願うポイントをいくつかご紹介します。

モーターを10万回転という高速回転にするため、初期キャリア周波数を他のモーターの2倍の40KHZに設定しました。この場合、他の最適化手法ではEMCを効果的に改善できませんでした。周波数を30KHZに下げ、MOSのスイッチング回数を1/3に減らすことで、大幅な改善が見られました。同時に、MOSの逆方向ダイオードのTrr(逆回復時間)がEMCに影響を与えることが判明し、逆回復時間がより速いMOSを選択しました。テストデータは下図のとおりです。500KHZ~1MHZのマージンが約3dB増加し、スパイク波形が平坦化しました。

最適化前1.jpg

スイッチ時間を変更して MOS を交換する.jpg

 

 

PCBAの特殊なレイアウトにより、2本の高圧電源線を他の信号線と束ねる必要がありました。高圧線をツイストペアに変更することで、線間の相互干渉が大幅に減少しました。テストデータは下図の通りで、24MHzのマージンは約3dB増加しました。

最適化前2.jpg

ツイストペアに変更.jpg

 

 

この場合、2つのコモンモードインダクタが使用されます。1つは低周波用磁気リングで、インダクタンスは約50mHで、500KHZ~2MHzの範囲でEMCを大幅に改善します。もう1つは高周波用磁気リングで、インダクタンスは約60uHで、30MHz~50MHzの範囲でEMCを大幅に改善します。

低周波磁気リングのテストデータは下の図に示されており、300KHZ~30MHZの範囲で全体的なマージンが2dB増加しています。

最適化前の 20mH 低周波コモンモードインダクタ.jpg

50mH 低周波コモンモードインダクタンスに変更.jpg

 

 

高周波磁気リングのテストデータは下図の通りで、マージンが10dB以上増加しています。

最適化前3.jpg

高周波コモンモードインダクタンスの増加.jpg

 

 

皆様が EMC 最適化について意見交換やブレインストーミングを行い、継続的なテストで最適なソリューションを見つけられることを願っています。


投稿日時: 2023年6月7日
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